優れた体験を顧客に提供し続けることこそがブランディングの本質
皆さんはブランディングという言葉にどういうイメージを持たれていますか?
私は、ブランディングの理解を深めるまではテレビCMなどで大規模な宣伝活動を行うことイコールがブランディングであるというイメージを持っていました。
特に私の場合、大学卒業後に新卒として広告代理店で働くようになったのですが、新卒からこれまでWEB集客の中でもダイレクトレスポンスの領域のプロモーションを中心に担当してきたこともあり、預かった広告費に対してどれだけ売上を上げられるか、または新規顧客を獲得できるかということばかりを考えてきました。
そのため、自分のなかの発想として、広告費ありきで如何に売上を上げていくかという思考に陥ってしまうことが多く、費用対効果で図ることの難しいブランディングの分野についてあまり理解を深めることをしてきませんでした。
しかし、ここ最近あるきっかけを機にブランディングの理解を深めていく中で、ブランディングの正しい知識を身に付けることができました。そのなかで知ったことはブランディングを正しく行うことができれば、自社が市場の中で選ばれる存在になって多額の広告費を使わなくても顧客を獲得することができるということです。
だからこそ中小企業にこそブランディングが必要なのではないかということに気づくことができました。そこで今回はブランディングについて私自信が学んだことをまとめさせて頂きます。
ブランディングとは、大規模の宣伝活動だけを指すものではない
前述の通り、私自信がこれまではブランディングとはテレビCMなどで大規模な宣伝活動を行うことであるという認識でいました。
ただこの認識は誤りであり、ブランディングとは、企業の強い思いを明確にした上でそれを製品・サービスとして形にし、それを欲している人に情報を正しく届けること、この一連の作業をブランディングというようです。
②明確にした理念を社内の共通認識にする
③製品・サービスとして形にする
④WEBサイト・パンフレット・接客などあらゆる接点に理念を反映する
⑤製品・サービスを欲している人に情報を正しく届ける
多くの人はテレビCMなどの宣伝活動をブランディングと認識していると思いますが、この①~⑤までの一連の作業をブランディングと差すようです。
そしてブランディングを実施する最大の目的は『顧客から選ばれる存在になる』こと。だからこそ宣伝活動を行う前に、まずは自分たちの思いを明確にすることや、それを製品・サービスとして形にすることが重要となるのです。他社と比較して魅力的でない製品・サービスは、当たり前ですが宣伝をしても売れることはありません。
そして、顧客から選ばれる存在になるために重要となるのが、『他社よりも圧倒的に優れた体験を顧客に提供できているかどうか』です。
数年前からUX(ユーザーエクスペリエンス)というフレーズがWEB業界でバズワード化してあらゆるデジマ関連のメディアでUXの記事を目にするようになっていますが、やはりこれからの時代のテーマは体験であり、ブランディングの本質とは『他社よりも圧倒的に優れた体験を顧客に提供できているかどうか』のようです。
ブランディングを勉強する中で、このブランディングの本質に気づくことできたことが最大の収穫でした。
ブランディングとして明日から実践したいこと
①~⑤は言葉にするのは簡単ですが、これらを実践するのは時間もかかるし頭も使うし、実際は相当しんどい作業になります。
もし本格的にブランディングを始めるのであれば、成功体験があって経験も豊富なコンサル会社などのプロのサポートを受けることを検討してもいいかもしれません。ただ、ブランディングの活動自体は数カ月でできるものではないし、数年単位のプロジェクトとして取り掛かるものになってしまうため、そうなると相当な額の予算が必要となってしまいます。
そこで、私自身がブランディングについて勉強をした中で明日から実践できそうなことを3点まとめてみました。
①他社よりも質の高い体験を顧客に提供し続ける
ブランドとは、数日・数カ月で確立できものではなく長い年月をかけて徐々に確立されていくものです。そのため、自社のブランドを市場の中で確立するためには、自分たちが自信を持って顧客に提供できる製品・サービスを愚直に提供し続ける以外に手はありません。
もし自信の持てる製品・サービスが自社にないのであれば、これは経営者または事業責任者が頭を使って考えるしかないと思います。ここで大切なことは、『他社よりも圧倒的に優れた体験を顧客に提供できているかどうか』となります。
②社内に理念を浸透させていく
経営者だけが張り切って現場との温度差がある会社と、現場も理念に共感して熱気のある会社、どちらが顧客にとって魅力的に映るかは言うまでもありません。
普段顧客に接するのは経営者ではなく、現場の担当者です。そのため経営者が大切にしたい思いを現場に浸透させていく努力は必ず必要であると思います。
③WEBサイトやパンフレットなど、あらゆる販促物に理念を反映する
製品・サービスは魅力であっても、例えばWEBサイトのデザインがダサかったら魅力は半減してしまいますよね。そのため顧客と接点のあるあらゆる販促物は、理念を反映しデザインを統一する必要があります。
「人」がブランドになってしまっている現実から目を背けてはいけない
大手との価格競争に巻き込まれることなく、多少値が張っても買ってくれるファンがいる。または、広告費をかけた宣伝活動を積極的には行っていないが、口コミサイトやSNSでの評判が良くて直接サイトを検索して買いに来てくれるファンが大勢いる。
そのような状態を目指すためには、やはり中小企業にこそブランディングが必要なんだと思います。
ただし、自社にはブランド力があるいえる企業は少数なのではないでしょうか。なぜなら多くの中小企業は特定の人物に会社の経営を依存してしまっているからです。
営業出身の経営者が誰よりも営業をして案件を取ってくる会社、何人かのエース級の社員によってなんとか現場が回っている会社、このような状態の中小企業は日本には多くあるように思います。
別にこれが悪いという訳ではなく、製品・サービスではなく、そこで働く人がブランドになってしまっているということです。具体的にいえば○○さん(経営者)だからサービスを購入している、といった状態です。
このような状態は長期的にみるとリスクしかありません。経営者の営業力に依存している会社はいつまでたっても経営者が現場から離れられませんし、エース級社員の存在によって回っている会社は、その社員が退職してしまったら現場が崩壊してしまう可能性すらあります。また、再現性がないため事業もスケールしていくことはありません。
そのため長期的に事業を成長させていくためには、自社の製品・サービスが大手の製品・サービスとは比較されることのない選ばれる存在になる必要があり、そのために自社のブランドを確立して育てていくことこそが中小企業には重要なのではないかと思うのです。
まとめ
私がブランディングについて学ぶ中で、気付いた点を今回まとめさせて頂きました。
ブランディング=テレビCMなどで大規模な宣伝活動を行うこと
という認識が、
ブランディングを実施する最大の目的は『顧客から選ばれる存在になる』ことであり、そのために、『他社よりも圧倒的に優れた体験を顧客に提供できているかどうか』がブランディングの本質であるということを知ることできたことが最大の収穫でした。
私自身も「ブランディングとして明日から実践したいこと」でお伝えした3点を実践していくつもりです。またなにか気付いた点があればご紹介したいと思います。少しでも参考になれば幸いです。